昨年後半に電子書籍市場が一気に活性化したので電子書籍で本を読む身としては非常にうれしい。しかし現状ではストアが乱立していて、それぞれのストアで購入したものはいくつかの例外を除いて購入したストアでしか読むことができず不便だ。
ではどのストアで買えばいいのか?現状で一番完成度が高いストアを見つけるのは簡単。ほとんどのストアでアプリは無料、本の試読もできるので試読版を読んでアプリの使い勝手を確認すればいい。
しかし問題なのは将来性だ。いくらいいアプリだろうと、将来サービスをやめてしまえばそれで本は読めなくなる。そういう意味では今は完成度が低くても、将来完成度が上がり普及するだろうストアを見つけなければいけない。これは難問だ。
専用ハードは普及するのか?
昨年は楽天koboの登場、アマゾンkindleの日本市場参入、そしてBookLiveも専用ハードを投入するなど、電子ペーパーの安価な読書専用端末が多数発売された。これらの専用端末は普及するのか?といえば、否と答えたい。
まず第一に、現状ではPCなしで電子書籍を購入できる仕組みが十分整っていない。PCやスマホを使いこなし、電子書籍購入に積極的な層はより多機能は汎用端末を好むだろう。そしてそれ以外の層は相変わらず紙の本を買うだろう。
ただし、本当のヘビーユーザーはむしろ多機能端末よりも電子ペーパーの専用ハードを好むだろう。画面サイズの割に軽く、長時間読書しても手が疲れないし、バッテリーの残量を気にしなくてもいいのでお気に入りのスポットで一日中読書するという休日には専用端末以外考えられない。
旅行に出かけるときにすら充電アダプタを持たなくていいという専用ハードの手軽さは、使ったことがある人にしかわからないだろう。
各ストアの将来性
主に利用するストアを決めるにあたって、ストアの将来性が重要であることは冒頭で書いた。ではどのストアに将来性があるのか?ここでは大きく3つに分けて考える
まず一番将来性があるのは書店系ストアだ。そもそも本を売ることが本業なので、本の形態が紙の本から電子書籍に主体が移った時に一番本気になるのは書店だろう。
そして一番将来性がないのは合弁系だ。複数の会社のより集まりである以上、母体となる会社の思惑が一致しなければうまくいかないし、業績不振になれば責任の押し付け合いになりがちで、自社の看板を一手に背負っていない以上撤退も容易だ。合弁系の会社から順次出資している会社が抜けて、最後に残った一社が踏ん張って飛躍するというストーリーもあり得るのだが、今それに期待するわけにはいかない。
同様に将来性が不安視されるのは家電メーカー系だ。書籍販売が本業ではないので撤退が容易だ。ハードの製造としては残るが、書籍販売の表舞台からは消えてゆくだろう。
Kindle
最終的に残る電子書籍販売サイトとしてkindleはやはり最有力視される。現状では横書き書籍に比べてモバイルアプリでの縦書き書籍の表示や取り扱いの完成度が低い、北米ストアでは可能なPCアプリやWindows8アプリ、ブラウザ上での読書ができない、一部書籍は他社ストアに比較して最適化が不十分など至らない点が散見される。
しかしクラウドの扱いのうまさはさすがアマゾンだ。今や総合オンラインショッピングサイトになってしまったが、もとはといえば書籍の販売が本業だ。市場がkindle一色になることはないにしても、一定のシェアを保ち続けるだろう。
楽天kobo
登場当初酷評され、多くの人に嫌われる楽天koboだが、楽天の販売力を甘く見てはいけない。あちこちで悪口を聞く楽天ではあるが、販売力でアマゾンに対抗できる数少ないECサイトだ。
ただ楽天の場合あっさりとサービスを中止したRabooの前例もあり、既存ユーザーの利益を無視して企業の利益を追求することは想像に難くない。そういう意味では将来性はない。楽天カード会員は無料でkoboをもらったという噂もあるので、そうであればアフィリエイトでせっせとポイントをためて、ポイントで電子書籍を購入すれば完全無料で本が読める。
紀伊國屋
丸善や三省堂など大手書店は何らかの形で電子書籍販売に関係しているが、いずれも合弁会社だ。唯一紀伊國屋だけが自社ブランドを表に出して電子書籍を販売している。その紀伊國屋にしても販売こそ自社だが電子書籍の配信はソニーやKDDIなどが出資しているBooklistaに依存している。
紀伊國屋自体は専用ハードを販売していないが、一部とはいえ購入した書籍をソニーReaderで読むことができる。そういう意味ではkindleやkoboに対抗できるサービスとして、現状で一番完成度の高いアプリを持つ紀伊國屋は注目株だ。
BOOK☆WALKER
角川グループの直売ストアがBOOK☆WALKERだ。角川グループ以外でも自社の電子書籍を直売する出版社はいくつかあるが、角川の場合は傘下のグループ出版社をすべて束ねたうえで、ライバル出版社の書籍までも扱う総合電子書籍ストアを作り上げてきた。
他社の書籍に関してはライバルの電子書籍ストアと比べて特筆すべき点はないが、自社の電子書籍に関しては先行販売、独占販売、特別セールと、あらゆる手で他社から顧客を奪っている。
ソニーReader
家電系なので将来性に不安が残るが、ソニーは今や家電メーカーではなく総合メディア企業だ。そう考えた時、音楽配信やゲーム事業に並ぶエンターテイメント事業として電子書籍事業を重視してくる可能性がある。事実海外ではkindleのライバルといえばソニーReaderだ。家電系ゆえの不安と、ゲームや音楽と並ぶ事業に育つ期待とが半々といったところか。
おわりに
現在はソニーReaderの専用端末を持っている関係でソニーReaderまたは紀伊國屋で書籍を購入してReaderで読んでいる。BOOK☆WALKERはセールがあるときに利用するのだが、ものによっては安売りではなく専用WebMoneyで還元になるケースもあるので、どうしても利用比率が上がってくる。
また、kindleも最近になって取り扱い書籍数が増えてきたので少し使ってみようかと思っている。専用端末にしても当面はReaderを使うが、将来的に買い替えが必要となった時にはkindleにするかもしれない。
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